*貴女を花に譬えるなら 放課後、天十郎たちの補習を行うため真奈美は彼らの待つClassZの教室へと向かっていた。 「あれ、風門寺先生?」 目的地を間近にして、廊下から教室の中を窺うように立つ一つの人影が目に入り、真奈美はその名を呼んだ。 「やっほーセンセちゃん」 振り返り笑顔を向ける悟郎に、真奈美が小首を傾げる。 「どうしたんですか? そんなところに立って」 「あれをね、眺めてたんだ。こっそりひっそり」 どう見ても、こっそりひっそりではなかったのだが、そこは敢えて突っ込まないことにして。促されるように教室内に視線を移すと、そこにはA4とP2の姿があった。 「良かった、みんな揃ってる。でも、円陣を組んでどうしたんだろ…?」 視線の先の六人は、その言葉通り椅子に座り輪になって何かを熱心に語り合っているようで。 「ね、センセちゃんも気になるでしょ? だから、ちょ〜っとだけ小耳と立ててた訳なんだ」 「なるほど。でもそれって盗み聴きじゃ……」 「しぃー! ボクの好奇心と勘がポペラ聴きまくれって言ってるの。もうこうなったらセンセちゃんも付き合いなさい!」 悟郎に半ば強引にドアの裏に引き込まれた真奈美は、罪悪感に駆られつつも、そっと室内に耳を傾けた。 「やっぱ、犬っころだろ〜? キャンキャン吠えるし、すぐ追っ駆けてくるしよ」 「俺は、ハムスターとかリスとか……小動物だと思うがな」 「えーぼくと一緒のウサギさんがいいピョン!」 「たまにつれないところとか、うちのロアに通ずるとこがあると思うけどね」 「成宮と同意見なのは個人的に非常に不本意だが、僕も犬というか…仔犬だと思う」 「もうさぁ、ペンギンでいいじゃん。お腹のラインなんてそっくりだし」 「「「「「それはないっ!」」」」」 「……えーなんで総ツッコミなんだよ。なんか慧まで入ってるしさぁ」 「ペ、ペンギンは可愛らしいが、その……ふ、ふ、腹部のラインは別に似ていないだろうっ!?」 「え〜何〜、慧ってば見たことあんの?」 「アァン、方丈てめぇっ!!」 「えっ、な、そんな、ことは!」 「……不届き者には成敗が必要だな」 「だ、だから、そんなことを言っているのでは…っ」 「……上等だぁ、面貸せや?」 「……ぐっ!」 「あっ、そういえば。おれたち水着姿を見たことがあったよね〜?」 「そ、そうだ! だから僕は否定をしたまでで…全く誤解を招くことは言うな、那智!」 「な、なんでぇ、驚かせんなよっ!」 「あはは、ごめんごめん〜」 「あ、でもでも、ほっぺたはぷにぷにしてたナリよ〜」 「「!?」」 「ンフ、あと二の腕もね」 「「ななっ!?」」 「へぇ〜?」「ほぅ……」 「もう、ピーちゃんってば悪い子さんですねぇ〜」 「そう言うやっくんこそ♪」 「くぁぁ……まぁ、実際には知らんが、そうだろうとは思う」 「ん〜それってどういうこと。ふーみん?」 「いや、アロエを塗ったときに思ったんだ。特に深い意味はない」 「はぁ、アロエぇ〜?」 「……そう気にするな、天」 「うーん、じゃあ過半数の同意も得られたし、やっぱりペンギンってことでOKかな? もちろん腹的な意味で」 「「「「「だから、それはないっ!!」」」」」 「――犬とかペンギンとか、好きな動物の話でもしているんでしょうか?」 「…………うーん、まぁ当たらずとも遠からずってとこかな」 断片的にしか聴こえなかった単語から真奈美が推測すると、何かを察した悟郎は曖昧に答えた。 「でも、なんだかちょっと嬉しいです」 「嬉しい?」 「はい、お世辞にも仲が良いとは言えなかったA4とP2があんなに楽しそうに話をしてるので」 半年前の自分は、こんな彼らの姿を想像できなかっただろうと、未だに議論を続けている生徒たちに視線を向けながら思う。 「ふふ、そうだね。まぁ、共通点があれば話題は尽きないもんだよ」 「共通点、ですか?」 「そ♪」 「?」 肯いてウィンクをする悟郎だったが、真奈美はやはり首を傾げるしかなかった。 「あ、おれバイクの後ろに乗せたことがあったけど、確かに柔らかかったかもなぁ」 「「「「「はぁぁぁぁ〜っ!!!?」」」」」 那智の発言により、彼を除く五人の絶叫にも近い声が室内の空気を震わせる。それは真奈美たちの耳にも鋭く届いてきて。 「……今日は補習どころじゃないかもね?」 「ええ!?」 悟郎の予想通り、その日は生徒たちからよく分からない質問攻めに遭い、補習は碌に進まなかったという。 実際は花ではなく、動物の話なんですが、語呂がよかったのでタイトルはこれで。 「花=可愛いもの」という意訳でお願いします(かなり無理矢理) 那智の譬えはもっと変な動物(全くもって同意しがたいような←をい)にしたかったんですが、デートイベントでも言っていたのでペンギンにしました。 ちなみに二人分の台詞が被っているのは、天と慧です。ピュアピュア(笑) 反対にその二人以外がむっつりorオープンですみません。でも反省はし(以下略) 2009.7.15.up |