*ずっと、ずっと *


「なぁ、ステラ!」
「ん?」

 隣に腰掛けているステラの肩を力いっぱいに押さえ、僕は彼女の菫色の瞳だけをじっと見据える。

「そんなことある訳ないけど、ない方がいいけど、一つだけ言わせて」
「うん」
「もしも、もしもね、明日僕らが離れ離れになるとする」
「うん」
「理由は分からない。考えちゃダメだ」
「うん」
「そんなときに後悔したくないから、だから言わせて」
「うん」

 小さく一呼吸して、言葉を一気に吐き出す。

「僕はお前が好き。ちょっとバカだし、うざいって思うときもあるけど、本当はすごく好き」
「うん」
「スティングも好き。口うるさいし、偉そうに兄貴面するときもあるけど、やっぱり好き」
「うん」
「ネオもまあまあ好き。お前らとは比べようもないけど、外の人間の中では一番気に入ってる」
「うん」

 僕のひとつひとつの<告白>にステラは、ゆっくりと相槌を打つ。
 理解してるしてないは、この際別問題だ。

「こんなこと本当は言いたくない。だって恥ずかしいじゃん。カッコ悪いだろ?」
「……そうなの?」
「そうなの! たぶん顔真っ赤だぜ、僕」
「うん、真っ赤」
「うっさい」

 正直に答えるステラの鼻を小突く。ちょっと強めに。

「でも、あのとき言っておけば良かったって後悔したくないんだ」
「うん」
「もしも、明日で会えなくなるんじゃないかって思うと怖い」
「……ステラもいや」
「バカ、泣くなよ。僕はもしもの話をしてるんだから」
「……うん」
「そんなことない方がいい。ある訳がない」
「うん」
「でも、ちょっとだけ不安になった」
「うん」
「だから、何度でも言う。僕はステラが好き。今までもこれからもずっと好き」
「うん、わたしも……アウル、好き」
「ん、ありがと」

 両肩に置いた手を背中に移し、ステラをぎゅっと抱きしめた。
 彼女の体温を全身で感じる。とても心地よい。


 明日が来たら、明日も言おう。
 明後日も、明々後日も。
 もしものときまで言い続けよう。


 それでもまだ足りないと思ってしまうのは、僕が欲張りだからですか?





 久々のアウル視点です。
 本当はもっと明るめに書きたかったのですが、どうしてもシリアスに。すみませんです。
 こんなに「好き」と連呼してくれるアウルは、もう書けないかもしれません(笑)


 2005.8.22.up