* 君と僕とを繋げるモノ *


 ステラは海が好きだ。
 なんでそこまで、それに惹かれるのかは、 僕には分からないし、別に興味もない。
 けど、僕はそれと君とを繋げる術を知っている。ただ、それだけのこと。



「ステラってさぁ、海、好き?」
「うん」
 僕の問いかけに、彼女は予想通りの答えを返す。



「じゃあさ、今度アビスに乗せてやろっか?」
「え」
「海につれてってやるよ」
「本当? 嬉しいっ」
 そう言って、虚ろだった茜色の目を輝かせる。



 ほらね。僕は、君とそれとを繋ぐ術を知っているんだ。



「アビスってさ、深淵って意味なんだぜ」
「うん」
「だからさ、海の底まで行ってみよっか。真っ暗で何も見えないかもしんねぇけど」
「ふふ、アウル、楽しそう」
 はしゃぐ僕につられて、彼女も小さく笑う。そして僕も笑う。



「キレイな魚、いっぱい見られるかなぁ」
「人食い鮫も見られるかもよ」
「うん」
「……素直に返すなよ」
 いつもより会話が弾む。そんな気がする。



「ステラ、楽しみ?」
「うん、早く海に行きたいなぁ」
「任務が終わったらね」
「うん」
「ちゃっちゃと終わらせような。そしたら行ける」
「うん」
「それまで一人で行っちゃダメだかんなー」
「うん」
「約束っ」
「うん、約束」
 彼女の細い小指と指きりを交わす。



「あと、スティングには内緒だぜ?」
「……なんで?」
「あいつも行きたがるから」
「スティングは行っちゃダメなの?」
「ダメなの。3人もアビスに入らないじゃん」
 理由はそれだけじゃないけど、言うのが面倒だからやめといた。



「そっかぁ。じゃあ、ステラの次はスティングを乗せてあげて、ね?」
「やだよ」
「あと、ネオも」
「もっとやだよ」
 そんなことを暢気に言うステラの鼻を小突いた。ホント分かっちゃいない。



 君と僕とを繋げる術を、他の野郎なんかに教えるもんか。絶対に。





 ステラの一人称が未だに分かりません〜。「私」?「ステラ」??
 一度やってみたかったアビスネタ(笑)
 結局ステラが約束破って、21話に繋がったら…悲しいですね。まぁ、本編は本編ということで(笑)


 2005.3.12.up