* あなたは私じゃない *



 区別されるのが、怖かった

 お前はヒューマじゃない

 お前はガジュマじゃない

 そう言われるのが、怖かったし、憎かった


 だから、自らも線を引いた

 私はヒューマじゃない

 私はガジュマじゃない

 私は異端児だ、と



 殻に籠もった私を、救い出してくれたのは、仲間たち。

 そして、あいつ。


「ヒルダは、ヒルダだろ?」

「お前は俺じゃないし、俺はヴェイグじゃない。それと同じことじゃないか?」

「夏は春じゃないし、冬は秋じゃない。でも、それぞれに良さがあるだろ?」

「・・・それと同じじゃないか?」

 青年は、そう言って笑った。


 瞳に何かが溢れた。

 悲しいから?

 苦しいから?

 寂しいから?

 心が痛いから?

 いや、違う。

 嬉しいから、涙が溢れたんだ。


「ありがとう」

 嬉しかったから、その気持ちを言葉で表した。

 青年は歯を出して笑うと、大きく頷いた。


 私はあんたじゃない。あんたにはなれない。

 それは当たり前のことで、分かってるつもりだったけれど、その事実を嬉しく思えた。


 “違う”って、悪いことじゃなく、

 素晴らしいことだって胸張って言える日が、いつか私にも来ますように・・・





 最近読んだ本にこんな感じのことが書かれてたので、それをヒルダにあててみました。
 彼女が一番“違う”ということに悩んだ人だと思うので。
 久々の更新がこんな短いものですみません。今度はラブもので頑張ります!


 2005.5.11.up


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